日本の総合栄養食の基準とAAFCOの基準には、違いがあります。
栄養素プロファイルに差があり!
日本の総合栄養食とAAFCOの違いはなんでしょうか?総合栄養食は1997年のAAFCOの基準を採用し、AAFCOは2016年に基準が更新されていること、とお思いの方も多いのではないでしょうか?では、総合栄養食とAAFCO(1997)の違いは?と聞かれるとそこまで詳しく理解している方は多くないと思います。
AAFCOの栄養素プロファイルには栄養素濃度プロファイルと栄養素量プロファイルの2つが存在しますが、総合栄養食の基準は栄養素濃度プロファイルのみしか存在しません。さらに、総合栄養食の栄養素濃度プロファイルには、前提となる単位量当たりのカロリーの設定がされていないため、実はAAFCOの基準よりも緩く作られています。
大切なのは%(相対量)だけでなく、体に必要なグラム数(絶対量)が取れているか
パッケージの裏やAAFCOの基準としてよく見る「%」表記は、栄養素濃度プロファイルと呼ばれます。この栄養素濃度プロファイルは、AAFCOにおいて1997は3500kcal ME/kgを前提とし、2016は4000kcal ME/kgを前提としている為、単に数字を比較してAAFCO2016は、1997と比べて、基準が高くなった、低くなったと言えるわけではありません。
栄養素濃度プロファイルの元となっている栄養素量プロファイルは、栄養素量をカロリー当たりのグラム数で示しています。これにより、AAFCOが本来必要と考える栄養素の最小値を確認することができます。しかし、あくまでもカロリーというもの自体が、修正Atwater係数を使用した推定カロリーであるため、実際の食材のカロリーや、個体ごとの吸収率の差により誤差が出ることは予測されます。一般的にAAFCOの基準をクリアしたという場合においては、栄養素濃度プロファイルと栄養素量プロファイルのどちらも基準内に収まらなければなりません。
日本の総合栄養食の基準は、栄養素濃度プロファイルしか持たず、さらに前提となる単位グラム当たりのカロリー(kcal ME/kg)も設定されていないため、フードのカロリーが大きく異なる場合、記載されている%が同じであったとしても、カロリー当たりに含まれる栄養素量は大きく異なることを理解しておかなければなりません。日本では慣習的に栄養素濃度を表記することが多いですが、本来であれば、栄養素の量に変換し比較をしなくてはなりません。
例
フード名 | タンパク質(乾物%) | 1000g当たりのカロリー | 1000kcalMEに含まれる量 |
---|---|---|---|
A | 20% | 4500kcal | 44.4g |
B | 20% | 3500kcal | 57.1g |
AAFCO2016基準 | 成犬下限18.0% | 4000kcal | 45.0g |
総合栄養食基準 | 成犬下限18.0% | 設定なし | 設定がない為算出できない |
乾物パーセンテージ表記では、A、Bどちらも基準をクリアしているように思えるが、1000kcalMEあたりに換算するとAは基準に達していない。Bのみが濃度、量ともに基準をクリアしている為、真にAAFCO2016の基準をクリアしているのはBのみと言える。総合栄養食の基準であるならば、どちらもクリアしている。