腎臓療法食とは

腎臓療法食の定義

腎臓療法食っていったい何がよいの?そう思う方も多いと思います。当然ですが、腎臓療法食は薬ではありません。腎臓になるべく負担をかけないようにするためにするために栄養成分を調整した食事です。一般的には低タンパク、低リンの食事と言われておりますが、どのようなものが腎臓療法食と言われているのでしょうか。定義や数値を見ていきましょう。

獣医療法食評価センターの療法食ガイドラインには、慢性腎機能低下における重要な栄養特性として、
A.リンとタンパク質を制限、高品質なタンパク質を使用
B.窒素含有成分の吸収を低減
〔少なくともAまたはBのいずれかを満たしていること〕
と記載されています。 http://www.vdec.or.jp/guide.pdf

成書には、以下のような腎臓療法食の目安が記載されています。(乾物当たり)

栄養素AFFCO2016AFFCO2016
タンパク14-20%18.0%-28-35%26.0%-
リン0.2-0.5%0.4-1.6%0.3-0.6%0.5%-
ナトリウム≦0.3%0.08%-≦0.4%0.2%-
クロールナトリウムの1.5倍0.12%-ナトリウムの1.5倍0.3%-
カリウム0.4-0.8%0.7-1.2%
オメガ3脂肪酸0.4-2.5%0.4-2.5%
オメガ6:オメガ3の比率1:1~7:1 1:1~7:1
ビタミンE≧400IU≧500IU
ビタミンC≧100IU100-200mg

小動物の臨床栄養学 第5版より

調整されている栄養素とその理由?

リン

腎臓はビタミンDを活性型に変える働きを持っており、腎臓病になりその機能が衰えてくると、腸管からのカルシウムの吸収が低下します。 血液中のカルシウム濃度を正常化するために、上皮小体の働きが亢進し、上皮小体ホルモン(PTH)の量が増加します。
また、リン排泄が低下し、血中のリン濃度が上昇(高リン血症)しても、上皮小体ホルモン(PTH)の産生と分泌が起こります。血中のカルシウム濃度を上昇は、組織の石灰化を起こし、さらに腎機能を悪化させる要因となります(腎性二次性上皮小体機能亢進症) 。
腎臓病の動物の血液中のリンの濃度は、健康な動物のリンの濃度よりも制限されるべきです。これは、血液中のリンの濃度が明らかに上昇する前から上皮小体ホルモン(PTH)の分泌は亢進が予想されるからです。そのため、腎臓病の動物の食事は、健康な動物の食事に含まれるリンの量よりも低めに設定しておきます。

タンパク質

腎機能が衰えてくると、タンパク質の代謝されてできる老廃物が、腎臓から排泄されずに体内に蓄積するし、さらに腎機能の悪化や尿毒症などを引き起こします。そこで、老廃物の蓄積を少しでも抑えるため適切なタンパク質量に制限をします。
また、タンパク尿を呈する腎臓病の場合は、タンパク尿自体が腎臓にダメージを与える為、タンパク質制限により漏れ出るタンパク質の量を抑えます。

オメガ3脂肪酸

抗炎症作用をもち、タンパク尿や高血圧に対しても効果があると言われています。

抗酸化物質

ビタミンEやCは、腎障害を与えるとされる活性酸素種を除去する効果があり、酸化ストレスから腎臓を守ると言われています。ルテインやカロテノイドなどの抗酸化物質も有用かもしれませんが、指標となる量は確立されていません。

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