【飼い主様向け】食物アレルギーの診断について

食物アレルギーの診断は、根気が必要?

食物アレルギーかどうかを正確に判断するためには、除去食試験、負荷試験を行う以外に方法はありません。血液によるアレルギー検査もありますが、検査が陽性だった=必ずその食物にアレルギーがある、ということではなく、検査はあくまでも指標です。

実際にアレルギー反応を引き起こしている可能性がある食べ物を「食べない期間」を設けることによって、かゆみや赤み、嘔吐や下痢の消化器症状が減るかどうかを確認するのが、除去食試験です。除去食試験後に原因と思われる食物を「あえて足す」ことで、症状が再び起こるかを再現性を確認するのが負荷試験です。この二つをもって正確に、○○(食べ物の名前)に食物アレルギーがあるという判断ができます。飼い主様が食物アレルギーのことを考えるにあたり、重要な項目を以下に記載しますので、ぜひご一読ください。

食物アレルギーがある場合、反応している食物を与えたら、必ず毎回反応します。

ある食べ物を与えたら「かゆくなった」「お腹の調子が崩れた」などの体験からこの食べ物にはアレルギーがあるのではないか?と考えることがあると思います。しかし、重要なのはその症状に「再現性」があるかどうかです。その食べ物にアレルギーがあるのであれば、毎回必ずかゆみや赤み、消化器などの不調が出てくるはずです。例えば鶏肉が原因でアレルギー症状が生じているとすれば、鶏肉を食べることで必ず同じような症状がでます。鶏肉を食べて、ある日は赤くなるけれど、別の日は赤くならない、ということは絶対にありません。再現性が確認できない場合は、食物アレルギーではありません。

除去食試験中は絶対に指定された食べ物と水のみで過ごします。

除去食試験は、基本的には犬の場合2か月間(判断が早くつく場合もあります)、指定された食事と、水以外は一切口に入れてはいけません。「この子はこのオヤツがないといけない」という場合は、指定された食事か、その中に含まれる原材料の中からオヤツを選択してあげることになります。「指定された食材のみをあげて経過観察をする」ことができて初めて、除去食試験の真価が発揮されます。ほかのものを口にしてしまうと残念ながら診断をつけることは出来ません。
除去食試験期間中は口にできる食材が限られ、窮屈に感じるかもしれませんが、除去食試験は「その子の食の選択肢を広げるための第一歩」です。もし誤って指定されたもの以外を与えてしまった場合は、正しい判断をする為にかかりつけ動物病院様に、素直に申告をお願いします。

食物アレルギーと犬アトピー性皮膚炎は一緒に発症している子が多いです。

食事に対して反応しているのが、食物アレルギー。環境因子(ハウスダストや花粉など)に対して反応しているのが、犬アトピー性皮膚炎です。実はこの二つは併発していることが非常に多いため、除去食試験を行っても、改善があっても完治しない場合があります。そのため、症状に改善があるにも関わらず「治らない!食事があっていないんじゃないか…」と思われることもあるかもしれません。そういった場合は、食物アレルギーのほかに環境因子によるアレルギーが生じている可能性を考える必要があります。毎日一緒に過ごしていると、少しの変化が分かりにくいかもしれませんが実際には変化していることがありますので、主観ではなく、客観的に判断する必要があります。

~変化に気づく!お勧めの方法~
1. 治療開始前の皮膚の状態を画像として残し、治療後に同じ写真を撮り比較する
2. かゆみや赤みをスコア化(数値化)する
3. 消化器症状としてアレルギー症状が出ている子は、排便回数や便の形などを記録しておく
細かいことをいうと、皮膚の赤みの写真を撮る場合、撮影時間帯や角度でだいぶ見え方が変わってしまう為、同じ天気の同じ時間帯、場所で、同じ体位、画角で撮影するとより判断ができるかと思います。せっかくの改善を逃さないようにして、次の治療のステップへ進めるようにしましょう。

食事ではなく、季節変化で良くなっているだけのこともある。

皮膚症状は一般的に気温湿度の高い夏に悪化し、冬に改善傾向があります。その理由は温度や湿度だけでなく、花粉などの環境アレルゲンが関与している可能性があります。そのため、食事で良くなったのか、季節的(時期的)に良くなったのかを見分ける必要性もあります。症状に季節性のある場合は、食物アレルギーが主体(主たる症状の原因)でない可能性があります。

まずは動物病院へ相談を

DC one dishでは、食事歴や検査結果より、レシピを作成します。しかし残念ながら実際にその子の状況を直接診ているわけではないため、はっきりと診断をつけることはできません。飼い主様の経過観察の目と、実際診療する獣医師の目の二つが揃ってはじめて、正確な診断ができます。飼い主様独自で判断を勧めるといつの間にか「これしか食べれない」「このフード以外は怖くてあげられない」という状況を作り出してしまうこともあります。食物アレルギーの診断は、症状の変化に合わせて投薬内容を変更する必要性もあります。是非一度、かかりつけ動物病院にご相談してみてください。もし私たちがお役に立てることがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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