食材のカロリーについて

エネルギー換算係数について

ヒトは一般的にAtwater係数を使用し、タンパク質1gあたり4kcal、脂質1gあたり9kcal、炭水化物1gあたり4kcalと大まかに設定されています。これはあくまでも食品全般に対する平均的な値を示すものであり、実際の代謝や消化吸収はその食品によって異なります。
もう一つの考え方として、実際に行われたヒトの消化器吸収試験に基づき食品ごとにエネルギーを換算係数に変換する方法があります。日本食品標準成分表においても一部の食品にその考えが採用されていますが、すべての食品で試験を行うことは不可能なため、食品をグループに分けて、代表的なものを測定し、グループごとに換算係数を適応する形をとっています。

あくまでも食品に含まれるカロリーは、推定値(目安の値)であり、真のエネルギーでないことは心に留めておくべきです。

動物のエネルギー換算係数について

動物では修正Atwater係数が使用されることが一般的になっており、タンパク質1gあたり3.5kcal、脂質1gあたり8.5kcal、炭水化物(NFE)1gあたり3.5kcalという計算方法でカロリーを算出しています。これは、NRCが犬猫の食品の見かけ上の消化吸収率がタンパク質80%、脂質90%、炭水化物 85%と設定したのが起源となっています(参考:人の消化吸収率はタンパク質 92%、脂質95%、炭水化物97%)。
多くの市販されているフードはこの修正Atwaterを使用してカロリーを計算し、パッケージに記載されていますが、一部ヒトのAtwaterをそのまま使用しているフードがあることにも注意が必要です。

では、手作り食はどうでしょうか。
手作り食は人の食品を使用している為、市販のフードとは飼料原料、製造(調理)方法も大きく異なります。そのため、吸収率がおそらく違うであろうことは容易に想像ができます。2019年に、いわゆる手作り食を製品化した商品(フレッシュフード)のアミノ酸の吸収率を計った論文が発表されました。結果としては必須アミノ酸の吸収率は85%以上(ものによっては90%)を超えており、修正Atwater係数を使用してのカロリーの算出は過小評価していると論じられています。
私たちDC one dishもレシピを作成するにあたって、手作り食でのエネルギー換算係数は動物の修正Atwater係数よりも高く、人のAtwater係数よりも低いだろうことは感覚的に理解しておりました。そのため、このようなデータが論文として出てきたことを非常に嬉しく思っております。

ソフトランディングをするために…。

食事の給与量を決定する方法として、体重や活動量からカロリーを計算(DER)する方法があります。しかし、基本的に必要なカロリーは個体差が非常に激しいため、製品のパッケージなどに記載されている給与量は、あくまでも目安と受け止めておくべきでしょう。
まずは適当な量を給与し、その子の体重が維持できるよう経過観察をして、必要に応じて給与量を調整することになります。

もう一つの方法としては、変更する前に与えていたフードのカロリーをしっかりと把握し、新しいフードのカロリーを計算する方法があります。ドライフードから手作り食へ移行する場合、ドライフードは一般的に修正Atwaterが使用されている為、手作り食でヒトのカロリーをそのまま使用すると、カロリーが変動するため、注意が必要です。そのため、ドライフードから手作り食へ移行する際は、どちらかの計算方法で統一して調整したほうが、経験的に大幅な体重の変動をせずに、うまく食事を切り替えられるように感じています。

以前よりも分析の方法が発展し、より正確な栄養素の量、消化吸収率が測定できるようになりました。そのため、より実際に近い値が示されるようになったことはとても素晴らしいことです。ただし、まだまだ論文の段階で確立されたものではないということや、今までのエネルギー換算係数であったとしても食材同士の相対的なカロリーが大きく変わることは少ないと推察出来るため、今までのエネルギー換算係数を使用するのが一般的です。
もしかしたら、近い未来新しいエネルギー換算係数が発表されるかもしれませんね。期待大です。

True nutrient and amino acid digestibility of dog foods made with human-grade ingredients using the precision-fed cecectomized rooster assay

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