玄米、キヌア、アマランサスの食べ方。アブシジン酸、フィチン酸、シュウ酸って何??

栄養価抜群食材だが、食べ方には注意が必要?

キヌアやアマランサスの疑似穀物は海外では昔からよく知られるスーパーフードです。特にミネラルが豊富に含まれおり、キヌアにいったってはNASAが21世紀の食材として取り上げるほど注目を浴びています。玄米に関しては皆さんご存知の通り、栄養価が高くカロリーの低い食材として流行っています。しかし、これらの穀物には、栄養満点である反面、毒性を持つと言われる成分を含むため調理の仕方には注意とよく書かれています。実際にはどうなのでしょうか?

アブシジン酸

植物が、乾燥などの環境ストレスを感じると休眠、成長抑制ホルモンであるアブシジン酸を作り、活性酸素を誘導するということがわかっています。
活性酸素は、細胞(ミトコンドリア)にダメージを与え、病気を引き起こすと言われています。そのため、アブシジン酸は毒性があると注意喚起するサイトがあります。アブシジン酸の除去方法としては、半日~2日程度水につけて置き、発芽のスイッチを入れることで、アブシジン酸を消費させることができると言われています。

しかし、現時点においては、犬猫のみならず人間においても、アブシジン酸が生体に悪影響を及ぼしている科学的な明確な根拠はないようです。

フィチン酸

穀物に含まれるフィチン酸は、ミネラル(鉄、カルシウムなど)と結びつき吸収を阻害する可能性があることが知られており、栄養素の吸収を阻害する悪者としてよく取り上げられています。しかし、フィチン酸には良い報告もあり、抗ガン作用や結石の予防、さらには生体内ではシグナル伝達として利用されている可能性も挙げられています。

フィチン酸は、調理によって多くが損失し、また一緒に食べる食べ物によってその効果は大きく変化すると言われており、正確な測定が困難ようです。人間では、低栄養状態でなければ問題にならないとされています。またそもそも、悪影響を及ぼしているという正確なデータはまだないようです。

シュウ酸

シュウ酸は結石の主成分となる物質として知られており、ほうれん草に多く含まれていることが有名です(アク、えぐみの成分です)。一度腎臓や膀胱で、結石の形になってしまった場合は、手術で摘出するしかない厄介な物質の為、この3つの中では一番動物たちの生活に身近な物質です。

シュウ酸は水溶性の為、水につけただけでも水に溶けだし、食物内の量が減ると言われています。ほうれん草の場合はたっぷりの水で茹でるだけで半分ほどが溶け出します。

食材名 シュウ酸量(生100gあたり)
ほうれん草 700mg
キヌア183-185mg
アマランサス178-278mg
玄米35-38mg

参考文献①食品成分データベース②Quinoa: Nutritional, functional, and antinutritional aspects.③Oxalate in grain amaranth.④Oxalate content of legumes, nuts, and grain-based flours

結論

水で洗った後、少し長めにさらし、炊く前にその水を捨て新しい水で調理することで、多くの心配要素が取り除けそうです。まだまだ栄養学は知られていないことが多く、アブシジン酸、フィチン酸は人間でもどの程度影響を及ぼしているか詳しくはわかっていません。しかし、シュウ酸に関しては結石を引き起こす可能性があることはよく知られています。人とは異なり、動物たちの食事は同じものを長期間食べることが比較的多いため、水につけるなどのひと手間を加え、余計な不安を取り除けられればいいですね。

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