市販フードには、パッケージに記載のないアレルゲンが入っていることが普通です。

食物アレルギーの診断は、とてつもなく難しい。

飼い主様の中には、「このフードに切り替えたら」「この食材を与えたら」その後に「下痢をした」「かゆがった」という理由ですぐにアレルギーと自己判断し、食事の選択肢を狭めてしまう方がいます。もしかしたら、たまたまお腹の調子が悪かっただけかもしれませんし、与えた量が多いのが原因かもしれません。偶然、皮膚炎が重なってかゆがってだけなんてこともあります。

食物アレルギーの診断は実はとても難しく、血液検査などでアレルギー検査を行うことにより、アレルギー反応のでるであろう物質を「推測」することは出来ても「確定」するまでには至りいません。実際には、アレルギー反応を起こす物質を除去した食事(除去食試験)を一定期間与え症状が落ち着くことを確認し、その後アレルギー反応を起こす物質を与える (負荷試験) ことで症状が起きるという再現性をもって正確なアレルギー診断となります。
しかし、除去食試験に関しては多くの落とし穴があり、評価を行うことが非常に難しいです。

記載のない物質が混入(コンタミ)しているのが当たり前のペットフード

・Determination of mammalian DNA in commercial canine diets with uncommon and limited ingredients(2018)<この文献を読みたい方はこちら>
【内容】 市販のタンパクが限定されているフードをPCR(遺伝子検査)をした結果21製品中21製品すべてで、記載のない動物種の遺伝子が検出。

・Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (5): discrepancies between ingredients and labeling in commercial pet foods(2018)<この文献を読みたい方はこちら>
【内容】フードの中身とラベルが一致しているかを評価する論文を集めた文献。ラベルに書いてない材料が入っている率は、0-83%(中央値45%)。逆にラベルに書いてある材料が入ってない率は、0-38%(中央値1%)

・Cross-contamination in canine and feline dietetic limited-antigen wet diets (2018)<この文献を読みたい方はこちら>
【内容】動物病院から入手した抗原を制限したウエットフード11製品中6製品でコンタミがあった。

あくまでこれらの文献は一例で、他にもたくさんの文献があります。記載のない材料が入っているのが当たり前なのがペットフードだという認識が必要です。そのため、市販のドックフードを与え、アレルギーが疑わしかったとしても、そこに書いてある成分表をみるだけで判断することは非常に困難です。獣医師たちが信頼のおけるメーカーの食事に切り替えをお願いするのはこういった理由が一つあります。

皮膚科専門医は手作り食を推すことも多い。

上記のような背景があり、市販の既製品では正確な除去食をするのが困難であるため、皮膚科専門医の中には一時的に手作り食を勧める先生もいらっしゃいます。飼い主様の目で食材を厳選し、調理していただくことが最も安心な除去食になるからです。こういった手作り食のデメリットとしては、食材を限定して与える為、栄養バランスを整えるのが難しいということです。
また、アレルギーを起こす食材が判断できたからと言って、市販フードがこれほどまでにコンタミをしている状況を考えると、市販フードに戻すと症状が再発する恐れがあるということを考えなければなりません。結局、ずっと手作り食になるという状況も多く見受けられます。

DC one dishでは、特定の食材を避けたレシピや、指定された食材にプラスしたレシピなどもお作りしています。長期的な手作り食での食事管理が必要な症例を持つ獣医師様、飼い主様ぜひ一度ご相談ください。

おまけ:アレルギー表示の仕方(人の場合)

食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかな食品で、とくに発症者数や症状の重症度が高く、表示する必要性の高い食品7品目を「特定原材料」として、表示を義務づけています。さらに、20品目を「特定原材料に準ずるもの」として、可能な限り表示するように推奨しています。(2019.12.22現在)

人の場合アレルギーの表記なくアレルギー物質が混入していていると大きな問題になる為、動物たちのフードよりは遥かに信頼のおける記載となっております。また、 “本品製造工場では○○を含む製品を生産しています”など の注意喚起表示を行っている場合も多く、より安心して食を楽しむことができます。

加工食品のアレルギー表示対象品目

表示の義務があるもの
特定原材料7品目
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生
表示が推奨されているもの
特定原材料に準ずるもの20品目
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、 牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

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