動物の食事の考え方について~手作り食を行う上で~

人間の栄養学との違い

①成り立ち

人間の栄養学は、栄養学的なバランスと食事としての美味しさを両立させながら、現代まで発展を遂げてきました。対して動物の食事は、家畜としての歴史もあるため、美味しさ(嗜好性)という不確かな観点よりまずは栄養学的に十分であることが優先され、栄養基準が確立されてきました。 自ら食事を選択できず、確立された栄養基準に則り作られてきた総合栄養食を与えられてきた動物たちの食事管理を、前提として人と同じような感覚で行ってはいけません。また、一定の栄養組成の食事を毎食摂取している動物たちに、あえて栄養組成として波をつくることは、健康上のリスクを上げる可能性もあるのです。

動物福祉の基本方針として国際的に認められている5つの自由の中にも、「適切かつ栄養的に十分な食物が与えられている。」ことが記載されています。近年手作り食や、様々なフードが世の中に大量に出回っており、見た目や嗜好性の良いものがたくさん出回るようになってきました。しかし、それらが科学者たちが積み上げてきた栄養基準を無視するような栄養学の進化に逆行するようなことはあってはいけません。見た目だけ、嗜好性だけを優先させることで彼らの自由、健康を奪ってはならないと考えます。

動物の5つの自由

1.飢えと渇きからの自由 (Freedom from Hunger and Thirst)
  • 動物にとって適切かつ栄養的に十分な食物が与えられている。
  • いつでもきれいな水が飲めるようになっている。
2.不快からの自由 (Freedom from Discomfort)
  • 適切な環境下で飼育されている。
  • 清潔に維持されている。
  • 風、雪、雨や炎天を避けられる快適な休息場所がある。
  • 怪我をするような鋭利な突起物はない。
3.痛み・傷害・病気からの自由 (Freedom from Pain, Injury or Disease)
  • 病気にならないように普段から健康管理をしている。
  • 痛み、外傷あるいは疾病の兆候があれば、必要な獣医療が受けられる。
4.恐怖や抑圧からの自由 (Freedom from Fear and Distress)
  • 動物は恐怖や精神的苦痛(不安)や多大なストレスを与えず、守る。
  • その兆候がある場合、原因を特定し、権限に努める。
5.正常な行動を表現する自由 (Freedom to behave normally)
  • 動物が正常な行動を表現するための十分な空間・適切な環境がある。
  • 動物がその習性に応じて群れあるいは単独で飼育されている。

参考:埼玉県県庁,公益社団法人 日本動物福祉協会

➁食事量の違いによる感覚の差

人のレシピによくある、「少々」や「ひとまわし」「ひとかけ」などの感覚的な量の指示は、動物たちにとってリスクでしかありません。
例えば、体重1kgの子の一日に必要なカロリーは約100キロカロリーほどになりますが、アマニ油などを油類が1g増えると、一気に8キロカロリー増え、(一般的な食事:乾物当たり400キロカロリー/100グラムと仮定すると)およそ乾物量当たり4%の脂質の上昇につながります。感覚的な栄養組成の手作り食や、目分量でのドライフードの給餌は、体重コントロールがうまくいかなかったり、時に膵炎などの重大な疾患を引き起こす原因になることがあります。そのため、手作り食をするならば、栄養組成が明確な食材使い、しっかりと栄養素の計算を行い、ドライフードも、毎回計量して与えることが必要です。

手作り食は、嗜好性が高く、動物たちもドライフードよりも好んで食べてくれることが多いため、試される方も多いかと思います。しかし、しっかりと栄養計算された市販フードとは異なり、手作り食は自身で栄養組成を組み立てなければなりません。安易な手作り食は避けるべきです。信頼性のあるレシピでしっかりと計量を行い、動物たちの健康維持に役立てたいですね。

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